中本 真也
カナダ公認理学療法士
カナダでの臨床・現場の経験を活かし、脳振盪啓発活動を行いながら、最新研究の知見を取り入れるため、毎年、脳振盪関連の国際学会へ参加。常にアップデートし、基礎から最新研究まで大切な情報を講演・セミナーで発信している。
また、Remedy Conditioning代表として、国内外での経験を基として、トップスポーツ選手のサポートも行なっている。

救われる人、救われるべき人が救われていない

 私が、脳振盪の啓発活動に専念すると決めたきっかけは、カナダでの臨床経験と日本の現状を比較した時にショックを受けたからでした。
 カナダでは、一般のクリニック(日本でいう接骨院・整骨院のような位置づけ)でも、頭に衝撃を受けたり、転倒等で頭を打ったりした後に、患者さんに対して評価を行い、その評価の結果をもとにしたリハビリテーションが当たり前に行われていました。アスリートはもちろんのこと、子どもから高齢者まで、頭を打ったら脳振盪の可能性がある。そういう認識を持った方が多く、クリニックに来院されていました。受傷直後に来院されて、チェックして、できる対処をして、1週間ほどで症状がなくなる場合もあれば、頭痛やめまいが1ヵ月以上も続いて来院される方もいらっしゃいました。どちらのケースにしろ、まず「専門家に診てもらう」ということが行われなければならないのですが、日本では、その「適切に診てもらう」という部分がなされていないことに気がつきました。
 理由としては、トレーナーや、病院でリハビリを提供する理学療法士、そして、接骨院などの治療院で治療を提供する柔道整復師、鍼灸師の方は、学校で脳振盪について、ほぼ学ばないからです。学んだ人がいないので、適切な対処の仕方を知っている人がいない。そのような状況であることに気がつきました。もちろん。スポーツチームで働かれている方で、脳振盪について熟知しておられる方もいらっしゃるかと思います。ご自身で研鑽を積まれて知識やスキルを得たのだと思いますが、それが一般的ではなく、スタンダードでもないのが日本の状況です。
 では、脳振盪になった人はどうするの?いろんな方に聞き、さらにわかったことがありました。それは、医師も「脳振盪のリハビリテーション」を処方しない、ということが一般的だったということです。今でもよく聞く話ですが、頭痛があって病院に行っているのに「あと1週間自宅で経過観察してください。」聞くのはそんな話ばかりでした。現在、世界では脳振盪の研究は進み、頭を打った後に安静にして回復を待つ、ということが正しい対処の仕方ではないことがわかっています。むしろ、症状をみながら動ける範囲で活動は続けるという方針が主流になっているのですが、それも浸透していない。一部の脳振盪に詳しい医師やスポーツチームに所属するトレーナーやセラピストの方しか知らない状況だったのです。
 これは環境が違い過ぎる… そう思った私は、海外と日本の現状を比較できる数少ない立場の人間として、その橋渡しとなり、日本の社会的な課題、日本に足りないピースを埋めたい、という勝手な使命感が高まりました。どれだけ変えられるのかも、どのくらいかかるのかもわかりませんが、頭を打って、適切に対処されずに後遺症に悩む人が1人でも少なくなるような、そんな社会を目指して活動していきたい。それが、私の活動の原点になっています。

情報アップデート

Update

常に正しい情報をアップデートするため、

脳振盪の研究が盛んな海外の学会へ参加するなど、積極的な情報収集に努めています。

経歴

History

  • 1998年4月 - 2002年3月

    筑波大学 体育専門学群

  • 2002年4月 - 2005年3月

    筑波大学大学院 体育研究科 スポーツ医学

  • 2008年5月 - 2010年9月

    エドモントンクラッカーキャッツ/キャピタルズ(カナダ独立リーグ) トレーナー

  • 2008年9月 - 2010年12月

    アルバータ州立大学 Rehabilitation Medicine Physiotherapy(理学療法学科修士課程)(カナダ)

  • 2011年4月 - 2013年12月

    Capilano Rehab Centre 理学療法士(カナダ)

  • 2015年1月 - 2016年6月

    CSA Physiotherapy Clinic 理学療法士(カナダ)

  • 2015年6月 - 2017年3月

    HealthPointe Sports and Rehab Clinic 理学療法士(カナダ)

  • 2017年4月 - 2021年3月

    日本スポーツ振興センター 国立スポーツ科学センターハイパフォーマンスジム

  • 2021年4月 - 2022年3月

    筑波大学人間総合科学学術院 スポーツ医学専攻

  • 2022年4月-

    Remedy conditioning 創業 代表

資格・学位

License
Certification

  • ・カナダ公認理学療法士
  • ・理学療法学修士
  • ・体育学修士
  • ・NSCA-CSCS(全米ストレングス&コンディショニング協会公認ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
  • ・障害者トレーニング指導員
  • ・保健体育教員免許
研究発表

Research
Presentation

指導選手

Instructed
Athlete

  • ・NHLアイスホッケー選手
  • ・CFLフットボール選手
  • ・リーグワンラグビー選手
  • ・柔道日本代表選手
  • ・バスケットボール日本代表選手
  • ・飛込日本代表選手
  • ・スキー日本代表選手
  • ・フィギュアスケート日本代表選手
  • ・フェンシング日本代表選手
  • ・パラアルペン日本代表選手
  •  など